66 近鉄30000系(ビスタカーⅢ世 )4輌編成
(実車)
近鉄30000系ビスタカーⅢ世に関してはTOMIX製〈N〉ゲージモデルの走行Movieを最近掲載したばかりである。そしてその中の[一口メモ]にビスタⅢ世の実車に関する記載があるので先ずそちらをご覧頂こう。
ここでは上に紹介した記述との重複をさけながらビスタカーⅢ世実車登場の背景を重点にして記載を続ける。名古屋線改軌以来、常に近鉄特急の王者として君臨してきた10100系ビスタカーⅡ世は老朽化に加え、独特の集中式クーラーの能力低下や連接構造など保守上の問題もあり、廃車が話題にのぼり始めた。
ビスタカーⅡ世退場要因としてはこの①「老朽化」「性能低」下以外にもう一つ②「陳腐化」が挙げられる。
この②「陳腐化」の具体例を記載しよう。10100系ビスタカーⅡ世と12200系スナックカーが連結されて入場した場合、近鉄特急に初めて乗車する乗客や子供達はビスタカーⅡ世を選ぶが、近鉄特急の常連客の中には案外スナックカーを選ぶ人が多くいた。その理由は「スナックカーはリクライニングシートであり(ビスタカーⅡ世は固定シート)居住空間も広くてゆったりしている。」
引退要因①「老朽化」「性能低」は絶対評価であり②「陳腐化」は相対評価である。そして①が成立すれば②の如何に関わらず即「引退」であるが、一方②が成立しても①が不成立ならば、相対比較されるフィールドを変えて「引退」を免れる道はある。
大井川鉄道で働く私鉄各社のかっての有名電車やJRを離れてインドやインドネシアなど新興国で働くDC車輛がその例である。
(模型)
1979年(S54)カツミ模型店発売(完成品のみ)
このカツミ製 近鉄30000系ビスタカーⅢ世の最大の特徴は4輌編成の全車で集電し、これを新しく開発したドローバーを利用した全車通しの2本の通電回路と結んでいることである。
これと平行して実施された室内照明システムの改善によって、走行中の室内灯のチラつきは全く見られないし、室内にびっしり並んだ緑と赤の美しいシートが走行中もよく見える。
結論としてビスタカーⅢ世モデルに込められたカツみの意図(通電改善と室内照明の改善)は見事実現されている。その他完成品としての仕上がりも美しく、走行性能も安定しており申し分なし。
次に問題点であるがそれは新開発のドローバーの操作性と価格の2点である。「走行派」にとって車輌の連結、解放の操作性の良否は重要である。2つの車輌をレール上に置いてお互いに突き合せれば、即連結完了。どちらかの車輌をレールから持上げれば、それで解放完了・・・・・このようなカプラーが既に多く市場に出回っている。
この点でカツミ新開発ドローバーは、通電改善効果は「抜群」であるが、連結、解放の操作性は「落第」である。この点と購入価格の高さも考え合わせればこのカツミビスタカーⅢ世も又欧米のように気楽に走らせて楽しむモデルでなく、棚に飾って眺めて楽しむモデルである。
この後掲載を予定しているビスターカーⅢ世走行Movieでは、カツミの意図した通電性能改善効果と室内照明改善効果を視認して頂くために、薄暮走行と夜間走行Movieの追加も考えている。
30000
(引き続き30000系ビスタⅢ世の走行MovieとStillを掲載する。)
◎ビスタカーⅢ世 単独走行Movieでは薄暮走行と夜間走行を想定したMovieも掲載する。
◎65・4で掲載した(ビスタカーⅡ世)+(エースカー)+(スナックカー)=7輌編成との同時走行Movieも掲載する。