第1の部屋  (個別車輌紹介)

第1部 ’60年代 発売車種

「第1回」  1号機関車と弁慶号

この2台は実車日本の鉄道開業期を象徴する機関車であるが同時に模型の方も「日本のHOゲージ模型による鉄道の歴史」黎明期を代表する2台である

1. 1号機関車(150型

(実車)
明治5年(1872)新橋~横浜間運転開始に備え、イギリスから10輌の機関車が輸入され、その中で1号のナンバーを付けたものが、日本最初の機関車として国宝扱いされて博物館に鎮座している。
「1号機関車」は正式には150型と呼ばれている20トン余りのロコで、イギリスのバルカン・ファンドリー社で1871年製造。

(模型)
カツミより1960年発売の初期型、1961年8月(S/36/8) 長男誕生記念として購入(DH-10 モーター装備 縮尺1/76) 鉄道模型趣味誌(TMS 153号)製品の紹介で何点かの不備を指摘され「初心者には薦められない」 旨の記述もある。カツミでは3年後の1963年、この不備を改善した改良型を再登場させたが品薄気味は続く。
長い絶版時代の後1978年 DH-10 モーターカン・モーターに変更し安全弁などのディテールを追加した後期型を再発売。
当社所有のものは勿論「初心者には薦められない」 初期型、それでも製作から42年経過した現在も同じカツミ発売の古典客車を牽引して快走する。


(追加)
2003年10月開催の第24回 鉄道模型ショウ記念特製品(1号機関車動力付き緑色塗装完成品)を会場で購入。カツミ製1号機関車に40年ぶりに弟分が出来たので遅まきながら紹介する。

カツミ1号 兄貴分 ショウ記念品 弟分

よく見るとボイラーの高さなど形状に相違があるが、輸入されたプロトタイプ10輌もすべて同じ形状ではなかったようだ。   1号機関車Movie     (’04.11.2 追加)

(2011.11.18  Movie、Still追加)
1号機関車の牽引する古典列車Movieの登場である。牽引機関車はカツミ製安達製(第24回鉄道模型ショウ記念特製品)で、牽引されるのは自由型Bタンク牽引軽便鉄道Movieに登場済みのカツミ製古典客車4輌である。
カツミ製1号機関車は本文にもある通り1960年発売の初代製品であるがカツミは18年後の1978年改良型を発売この時同時に1号機関車牽引用としてこの古典客車(塗装済み完成品)も発売した。
機関車も客車もカツミ製で、当社に数少ない古典列車なので、最先にMovie登場させたい所であったが「無塗装機関車+塗装済み客車」という編成で旧原則に抵触するためBタンク牽引軽便鉄道に先を越されてしまった。旧原則廃止後「無塗装機関車+塗装客車(貨車)」の型でのMovie登場は13 D51蒸気機関車に続く第2番手である。
さて、ウォーム噛合わせを安定化するGear Boxも、フレキシブルジョイント役のゴムチューブも省略した「初心者には薦められない」カツミ初代1号機関車、しかも組立て完了、初走行以来50年以上経過しているのに、意外に安定した走行振りである。その模様をMovie1に掲載する。欠点は騒音が大きくまるで唸りを発して走っているように思えるがそれも愛嬌としておこう。
次に安達製1号機関車であるが、前後ともDummy Couplerで交換用Couplerもついていない。全く連結して走行させることを考えていないというよりも陳列しておくためのNodelである。
後部のCouplerをベーカータイプと交換し、例のカツミ製古典客車4輌を牽引させてMovie2を作成した。MOVIE1と比較すると当然のことながらカラーバランスの点と騒音の2点でMOVIE2の方が勝るが、模型としての興味と関心は、やはりカツミ製1号機関車の方に向かってしまう。

カツミ1号機関車 Stillx6





 


安達1号機関車 Stillx5

   

 




2.弁慶号(7100型)



(実車)
弁慶号北海道を初めて走った機関車である。国鉄となってからは形式を7100型と称し全部で8輌あり(その内6輌に"弁慶"をはじめ"義経""静 "等などの固有名がつけらており、形式番号より、この固有名の方で知られている)その製造は1880年アメリカ ポーター社。創世期における日本内地の鉄道は1号機関車に見るように、イギリス人指導によって建設されたところから、自然イギリス製車輌が多く使われてれいた。一方、北海道ではアメリカの技術で1880年鉄道が開通した為、車輌もすべてアメリカ製で内地と著しい対照をなしていた。
それは機関車の形態を見れば一目瞭然である。グッーと前へ突き出たカウキャッチャー、黒煙を吹き上げる大きなダイアモンドスタック(きのこ形煙突)大きなヘッドライト。それは、あの西部劇に登場する機関車そのままの姿である。
このように徹底したアメリカンスタイルロコは日本の鉄道史に特筆すべき存在であり"弁慶"をはじめ同族3輌が復元の上、東京の博物館その他に保存されてる。

(模型)

1959年それまで、Oゲージ専門のカツミが、HO(日本)ゲージの製品発売に踏み切った際、最初に発売された記念すべき商品がこの"弁慶号"である(当社保有は勿論この一代目弁慶である)カツミでは3年後の1962年初期不具合を改善した改良二代目弁慶を発売。
「鉄道模型考古学」にはこの二代目弁慶写真説明があるが一代目については、次のような記述があるのみ。「16番カツミの弁慶号の歴史は1959年と大変古く、当時の製品がどのようなものであったか見た事も有りません
幻の製品と言えるもので、写真1962年に登場した改良二次製品で古くからのファンであれば一度は手にしたことのあるモデルの一つ。」考古学者「みたことがない」とか「幻の製品」と言われる当社弁慶号は正に化石以前の存在
それが元気に走り回っているのは誠に愉快である。
「走行する」と一口に言っても、内部モーター駆動メカニズムを最新のものに変更した見せかけのクラシック車輌の例もあるが、弁慶号をはじめ当社のすべての古典車輌は、発売当時のままの内部メカニズムで走行する点を自慢にしている。 
 
弁慶号Movie    (’04.11.8 追加) 

(2014.03.20  Movie、Still追加)
本文掲載から約10年が経過し、そこに掲載されているMovieもSilentの小型版なので、今回新版MovieStillを追加することにする。モーターはじめ部品交換一切なし、55年前組立てた駆動メカニズムそのままで走行する弁慶号の様子を御覧頂こう。
所で弁慶号何を牽引させて走行Movieを作成するかが問題であった。先ず古典客車であるが弁慶号が北海道で活躍した頃の日本型古典客車(イギリスタイプでなくアメリカタイプ)は当社に在籍しないので、以下の外国型古典客車を選んだ。
  1. PRR(ペンシルバニア鉄道)1860年頃のスタイル古典客車2輌(Tuscan Red塗装)
  2. Santa Fe(サンタフェ鉄道)1890年頃のスタイル古典客車3輌(Green塗装)
     1.2.は何れもMANTUA製、Movie S14・10に登場済み。
  3. 中国鉄道、ダブルループ木製古典客車2輌、Bachmann製(金茶色塗装)

次は古典客車ではなく、現在でもでディズニーランド等でみられる遊園地観覧用客車4輌である。BachmannよりOpen-Sided Excursion Carとして発売されているが乗客は1人も乗っていない。Movieに登場するこの遊覧客車には(15/)程度の乗客figireがおり合計60人以上Figireはすべて当社社長の手になるものである。現在別項open Deck Observaton Ccarの乗客Figireを掲載中であるが、時期的には今回のExcursion Car乗客Figire作成の方が先(初回作品)なので服装ポーズなどの多様性の点でより念入りに作られている。それではMovieStillをどうぞ。


up119

「第2回」 Golden Spike の立役者2台のAmerican (軸配置 4-4-0、日本式は 2B)

3. UPの119号とCPの"JUPITER"(60号)

UNION PACIFIC119 CENTRAL PACIFIC "JUPITER"

実車)
「第1回」に弁慶号を取り上げた時、その形態について「あの西部劇に登場する機関車そのままの姿」と形容した関係もあり、今回は本当に西部開拓時代に活躍した機関車に登場願うことにする。
UP119号CP"JUPITER"(60号)がそれである。この2台は単にその当時の機関車というだけに留まらず、もっと特別の意味のある機関車たちである。(しかも常に2台一緒でないと具合が悪い)そこで、アメリカ鉄道の歴史の初期について簡単に触れる事にする。1825年、イギリスのダーリントン~ストックトン間に世界初めての鉄道が開業してから、わずか5年後の1830年アメリカの鉄道が開業した。(サウスカロライナで最初の蒸気機関車が走った)以後、アメリカでは鉄道建設ブームが起こり、1858年には早くもその鉄道路線は地球一周を超える43000kmに達し、西部開拓にUP119号CP"JUPITER"の仲間達のAmerican (軸配置4-4-0 )が最も活躍したのは正にこの時代である。
そして、1869年5月、東から UNION PACIFIC 鉄道、西から CENTRAL PACIFIC 鉄道が延びユタ州で結ばれ大陸横断鉄道が完成した。この栄えある完成式典で「黄金の犬釘」が打ち込まれる瞬間に立ち会っていたのが、UP119号CP"JUPITER"であった。
いわば栄光の機関車たちである。そして模型でも2台が常に一緒にいる必要性はここにある。(この辺のいきさつについては映画にもなり、かなり有名との事であるが、残念ながら小生はその映画をみていない)前回述べた通り、日本で1号機関車が初めて走ったのはその3年後の1872年の事である。
弁慶号が北海道開拓に活躍するのは更に8年後の事である。つまり 4-4-0 American (日本式呼称 2B)が最も活躍していた頃と2-6-0 Mogul (日本式 1C)である弁慶号が北海道で活躍した頃、この間には30年以上の開きがある。この為、西部開拓ロコと北海道開拓ロコは形態的にはアメリカンロコとしての類似性があるが、動力伝達機構としては 4-4-0 American から 2-6-0 Mogul へ弁慶号の方が一世代新しくなっている。この辺の類似点と相違点の参考の為以下に「第1回」の弁慶号の写真と同じ角度から撮ったUP119号CP"JUPITER"、更に弁慶号と一緒に3台並べた写真を掲載する。

(余談)

黒船騒動のペリーが再来訪したのは、嘉永7年(1854)、丁度 4-4-0 American たちが西部開拓に活躍真っ最中の頃である。
この時ぺりーは将軍家へのみやげとして電信機とこの汽車の模型を持参した。
この汽車の模型は、はたせるかな 4-4-0 American(2B テンダーSL)であった。

(模型)

アメリカ Bachmann 社製(塗装済み完成車)2001年購入、面白い事に Bachmann 社の製品カタログでも普通機関車は1台1台個別に写真があるのが、この2台は向き合って対になった一枚の写真に収まっている。

UP119号 CP"JUPITER"(60号)


西部劇スタイルの3台


(2011.08.10)
関連Link North East RailのUP#119とCP Jupiter#60のPrototype Stillを借用してModelとの対比を掲載する。

UP#119・・・Prototype


UP#119・・・Model







CP#60・・・Prototype


CP#60・・・Model




第3回」 アメリカの古典列車 ( Old Timer ) The DeWitt Clinton と The Lafayette

主として日本型古典機---HO(日本)鉄道模型の歴史の上での---を紹介する部屋ではあるが、「弁慶号」につられて西部開拓の立役者 4-4-0 American が出てしまった。そこで今回はアメリカの鉄道創成期の2つの列車を紹介する。

4. The DeWitt Clinton



実車)
DeWitt Clinton 列車は1831年ニューヨーク州ウエストポイント工場で作られた。それはアメリカで3番目の蒸気で動く公共の乗り物であった。最初の走行は1831年8月9日のことである。
DeWitt Clinton は大変小さく、ボイラーから水を抜いた場合、重量は3.5トンしかなかった。この機関車はベルも汽笛も、ヘッドライトも、前輪も、運転室もなかった。2個のシリンダーでコネクティングロッドを経て、4個の動輪を動かす ( 0-4-0 )DeWitt Clinton の現物はもはや存在しないが、実際に動くレプリカがミシガン州ディアボーンのフォード博物館に収められている。
DeWitt Clinton こそ、アメリカの古典列車である。


模型)
アメリカ Bachmann 社より2001年   Train Set の形で購入。
Set の入ったBox の表面には田園地帯を走る"DeWitt Clinton" の楽しそうな絵が画かれているが、この絵と同様、当社の路線上を、その小さな体躯にも関わらずClinton は快走し楽しい雰囲気をかもし出している。  走行Movie


(2011.11.05   Stillx4 追加)
遅くなってしまったが、昨年(2010)ヘンリーフォード博物館でDewitt Clintonのレプリカに対面してきたので、その時のStillを掲載する。








5. The Lafayette ( B & O RR )



実車)
アメリカで最古の列車の1つ。
アメリカ最初の鉄道会社である Baltimore & Ohio RR は1828年7月4日に設立された。
最初のレール輸送は1830年に蒸気機関車が出現するまで馬の牽引であった(鉄道馬車)。この新しいテクノロジー(蒸気機関車)はレールビジネスを急速に発展させ、7年間でこの会社の路線は107マイルに達した。
1837年においても B & O はただ2輌の SL しか所有していなかったので、輸送力を拡大する為新たに開発された"Lafayette" 即ち B & O の最初の 4-2-0 SL は鉄道業界にその信頼性を認められ、蒸気機関車の最初の Standard モデルとなったのである。1927年に作られた実際に動く Lafayette のレプリカは B & O 博物館に展示されている。

(模型)
アメリカ Bachmann 社より2001年購入。
この "Lafayette" が兄貴分で前掲 "DeWitt Clinton" が弟分、両者コンビでアメリカ鉄道創成期の雰囲気を演出してくれている。
Bachmann はこのような話題性のある楽しい車輌作りも得意なようである。


(2011.08.24)
本文に「1927年に作られた実際に動くLafayetteのレプリカがB&O博物館に展示されている」と記されているが、それを実際に動かした時のものではないかと思われるStill(1994年撮影)を関連Link North East Railで見つけたので借用してModelとの対比を掲載する。

Prototype(レプリカ)


Model




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