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「第37回」 42.C56スタイル蒸気機関車







(実車)
1920年頃から始った世界的経済不況は国鉄にも打撃を与え、ローカル線は閑古鳥が鳴く始末であったが、その公共性から僻地にも新路線を建設しなければならなかった。
従って建設費を極力少なくすると共にその後の運転経費も安くする必要があり、その為丙線の下に簡易線と名付ける線路等級が設けられた。
この規格に沿うよう最新技術を駆使して製造された機関車がC12(1932年)とC56(1935年)である。従ってローカル線合理化の立役者、不況が生んだ知恵と工夫の傑作機と評価される両機である。C12は小型タンク機ゆえ長距離走行は不可能、この為同じ簡易線でありながら長時間給水、給炭せず走行可能なようテンダーを付けたのが兄弟機となるC56である。
C56は165輌製造されたがその内実に90輌が戦時中に南方へ供出されたのも特筆に値するが2輌がタイから戦後返還され、C5644は今も大井川鉄道で元気に汽笛を響かせている。
小型機とはいえ、C55と共に製造されただけに近代的な好ましいスタイルをしており、バック運転の時後方視界を良くする為、両脇を斜めに欠き取ったテンダーのデザインが非常に印象的である。
全国のローカル線で広く活躍したが「小海線のC56か、C56の小海線か」と言われた程、小海線の貨客混合列車を牽く晩年のC56は有名となった。

(模型)
1969年カワイモデル発売の塗装済みKTT組立。
C56スタイルを名乗っているのは、完全なスケールモデルではなく、むしろ自由型に近く車軸配置と大略の様式から、C56なりの感じを汲取ってもらおうとした製品である。
事実、動輪径はスケールより小さく、それとのバランスからボディも小ぶりであるが、デフレクターやテンダーC56らしさを良く出しており運転派の小生にとって不満はない。
組立に苦労した記憶はなく、現在も米粒球のヘッドライトを常時点灯し、貨車2〜3輌引連れて、仮設レール上を快走する。
また、前部のダミーCouplerをKDタイプに変更、キ100ラッセル車の推進役も努めている。

'09.10.22 MOVIE 追加)
本稿掲載から4年が経過した。先日久しぶりに走行させたので、その時のMovieをお目にかける。カワイモデル製C56スタイルとしては組立て後40年ぶりの走行である。

TMS最新号(2005年2月、No735)のカワイモデル広告に「C56スタイル好評発売中」と掲載され、その写真を見る限り外観的には全く変わっていない。驚くべき長寿命製品である。同広告に添えられている解説文を載せて本項を終了する。
「ローカル線で活躍したC56のムードを余すところなく再現!初心者にもマニアにも好まれる手頃な自由型蒸気機関車です。」


「第38回」 43.EF66電気機関車








(実車)
東海道、山陽両本線の高速重量貨物列車用として、出力3900kw、1200t貨物列車を平坦線120q/hで牽引出来る性能をもつEF901(後のEF66901)が1966年に試作された。
試作機の成績は優秀で1968年(昭和43)EF66の量産が開始された。EF65の重連に匹敵する、即ちあのマンモス電機EH10の50%も上回る、狭軌最大クラスの電気機関車である。
力強いフォルムと精悍なマスクに人気があり、電気機関車としては珍しく平行カルダン駆動空気バネの台車と共に下手な電車より乗り心地よく貨物用にしておくのは惜しいと言われていた。
そのEF66がついに客車中の客車、ブルートレイン牽引機抜擢されることになった。誕生から17年経った1985年(昭和60)のことである。
九州ブルートレインは最大14輌だったが、旅客サービス向上の一環として「はやぶさ」編成にビーカーを加えることになり初めて15輌編成のブルートレインが登場。従来のEF651000番代では性能不足となりEF66の起用となったのである。
なおこのEF66は1989年(平成元)14年ぶりの増備が行われた。増備車は1000番代分類され共通運用されるため基本性能は同一であるが、新形式かと見まがうような現代スタイル新塗装で登場している。

(模型)
1969年カツミ模型店発売 塗装済み完成品
EF66の実車が1968年に登場すると、直ぐ翌年にそのモデルがカツミから発売されたのに先ず驚かされたものである。
例によって早速購入したものの、塗装済み完成品のみの発売となっていたことも、当時のカツミとしては珍しかった。
当時のTMS(NO251)のEF66紹介欄には「分解して組立法をみると合点がいく。キットの発売を考えない組立法なのである。」と記されている。そういえば、キット組立の楽しみは無くなるが、それと引換えに比較的安価で、良心的な完成品を入手できて喜んだ記憶がある。黒メッキされたダイキャスト製台車側枠の立体感は抜群であり2Motor 2Inside Gear方式BBB台車の処理法は従来のカツミ製F級電機EF60EF70と同様である。
ただ一点、配線がコンダクターを全く使用しない電線のつなぎっ放しになっているのはコンダクター方式のEF70に較べ退歩である。(これもキットを発売せず、完成品を安くする方策の一環か?)とはいえ、良心的な作りのお陰もあり、当社のEF669は今も快調である。そのデータを以下に記して「第38回」を終了する。

[単機走行] 560R
通過OK Max Speed 時 電流 0.6Amp

[カツミ製24系 ブルートレイン PC×7 牽引] Max Speed 時 電流 2.0Amp
  
  (Head Light×2  Tail Light×2  Back Sign×2  全客車室内灯点灯)


'16.09.15 MOVIE、Stillx9 追加)
本稿掲載時に、走行時の所要電流まで測定しておきながら走行Movieの撮影を実施しなかったので、前回の電流測定時と同じ編成(カツミ24系ブルトレ、PCx7牽引「富士」)で走行Movieを作成する。このEF66は当社に在籍する日本型ブラスモデルの中では比較的新しい機関車であるが、それでも今回の走行は初走行以来実に47年ぶりの走行となる。
ブルートレイン史の原点ともいえる「あさかぜ」の誕生が1958年、当時すでに社会人となっていた小生は、この時の感激を鮮明に記憶しているが、その一世を風靡したブルートレインも今はない。新幹線の路線延伸のもたらす必然の帰結である。栄枯盛衰の歴史は列車群の間にも展開されている。
今回のEF66牽引のブルトレ「富士」は九州ブルトレにとって、そしてEF66にとっても最も華やかに輝いていた姿ととらえることが出来る。
それではEF66牽引ブルトレ「富士」の走行晴れ姿をMovieでどうぞ。


ホーム発着走行 (1) (2) (3) (4) (5)

9枚のスチール




















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