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「第53回」 61.C55(流線形)蒸気機関









(実車)
C55は本稿に既に登場し、その一般的な記述は終わっている。(「第31回」 35.C55 蒸気機関車参照)
従ってここでは、主としてC55の「流線形」について述べる。
かって1935年(昭和10)を中心に、世界的に「流線形」がブームとなった頃、日本の国鉄、私鉄でも幾つかの流線形車輌が誕生した。
C5520〜C554021輌は第2次型と呼ばれ、最初から流線型で設計され、量産された唯一の蒸気機関車である。
そしてこの流線形の21輌は、北海道から九州まで全国に広く配備され、急行列車を牽引して、流線形時代の花形蒸気機関車として人気を集めたのである。
流線形時代に幼少期を過ごした小生にとって、1938年頃 米原駅でこの流線形C55に対面した時の感動を今でも忘れることは出来ない。

所で視点を変えて流線形C55グローバルな観点から見てみよう。そこからは欧米鉄道先進諸国とわが国の「流線形」への取り組みの違いが浮かんでくる。
欧米では流線形化のプロセスとして風洞実験、空力解析、有力デザイナーへの設計委託などを経るが、日本のC55(流)の場合そのようなプロセスを経ず鉄道省が、世界的な流線形ブームを考慮して、器用貧乏的に作り上げている。
このプロセスの違いは、当然出来上がった流線形蒸機の造形面の差となって表れている。欧米の流線形蒸機に見られる三次曲面の美しいフォームに対し、C55(流)C5345二次曲面主体の簡易な加工でできている。
更に流線形蒸機の機種選択とその運用面での両者の差異も顕著である。欧米では最強力蒸機を流線形化し、最重要幹線高速列車(看板特急)レベルアップに努めているが、C55軽量級機関車で、亜幹線で急行列車を牽引する事はあっても、東海道、山陽本線の看板特急のレベルアップを目指したものではない。(C5345は東海道、山陽本線の特急を牽引しているが、1輌ではお話にならない)
結論的に言って、欧米では、蒸機の「流線形化」は当時台頭してきた自動車への対抗手段として、鉄道旅客輸送の近代化レベルアップの為軽量化、高速化、効率化ともに行われたが、日本の場合、C55(流)が全国に配備され人気を博したとは言え、結局の所当時世界的ブームとなった「流線形」を全国にあまねくお披露目した程度の役割しか果たしていない。
酷な言い方をすれば、日本「流線形」「流」「流行」「流」に過ぎない。
このように、後に続く流線形車輌もなく、はかなく消えた「流線形」ではあるが、それだからこそ却って当時の流線形ブームを知るオールドファン「流線形」ノスタルジーを感じるのである。

(模型)
1975年(昭和50)天賞堂発売 塗装済み完成品
天賞堂
から「流線形」C5520の登場である。世界的な流線形ブームの頃の流線形への思い入れをもつ小生は迷わず購入した。
「流線形」であっても、その動力伝達機構は一般の蒸機と同じ、当然の事ながら流線形カバーで覆われた部分のディテールは省略されている。その代わりテンダー後部には内部のシリンダーその他のパーツが作り込まれている。
天賞堂らしいしっかりした組立で、外観、塗装ともAクラスの評価、特に銀色のふちどりラインは磨き出しで美しく表現されている。
走行性能は、スタートに若干 Volt を喰うが定常走行になれば0.7〜0.9 Amp でその当時天賞堂電機にみられる独特の唸り音もなく牽引力も十分、過去の記録帳によれば「460R通過OK」という日本型蒸機としては信じ難い数字が記入されている。
ところで話は変るが(実車)の稿でC55流線形軽量級蒸機のため、亜幹線急行列車を牽引する事はあっても、東海道山陽本線特急を牽引する事は無かったと記したが、一つだけ例外がある。
それは名古屋に配備されたC55(流線形)不定期特急「燕」を牽引したことである。超特急「燕」は人気が高く切符の入手難対策として「燕」に10分先行する平行ダイヤ不定期特急「燕」が設定された。
但し10輌編成正規「燕」(C53牽引)に対し、C55(流線形)は出力が劣るので不定期特急「燕」の方は2、3等客車と食堂車の7輌で編成されていた。
そこで1940年(昭和15)頃の不定期特急「燕」をイメージしてC5520に丸屋根スハ32系7輌(宮沢製)を牽引走行させた時のMovieStillを掲載して本稿を終了する。






「第54回」 62.EF81エンドウの電機2兄弟


62・1EF81 88(基本型式)
62・2 EF81 302(関門トンネル用)










(実車)
北陸本線、信越本線、羽越本線の電化によって、日本海縦貫線は電気運転が可能になったが、この区間は電気方式が異なる為、直通運転するには、3電源(直流1500ボルト、交流2万ボルト60ヘルツ及び50ヘルツ)に対応する機関車が必要となる。
この目的で開発されたのがEF81である。(1968年登場)
性能直流用EF65と同じで、第一級の出力だが、これに交流用各種機器を搭載するため、重量及び容積の低減に徹底した工夫改善が行われた。
それでも完成したEF81は、軸重許容限度一杯、全長新型F級電機では最長となっている。
EF65のような用途別の番台区分はなく基本タイプ152輌と、関門トンネル用にステンレス車体とした300番台4輌に分けられる。
3電源対応の特性を活かして、東北本線にも進出、JR各旅客会社では、ブルートレインの通し運転に使用し「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」などの牽引列車に合わせた特別塗装電機も存在する。

(模型)
1976(昭和51)年エンドウ発売塗装済み完成品
EF81としては、このエンドウ製最初の発売である。(バラキットは除く)その特徴は、エッチングを多用した構成で、エアーフィルタードア−、Hゴム周囲の凸凹の表現は勿論、などの抜き落としもエッチング処理で行っている。
前面一体プレス製でサイドとのバランスも良好である。
全般的に非常に美しくまとまっており、よけいな凝ったディテールがないのが、却ってすっきりしており「走行派」にとってはこれで十分である。
駆動2Motor 2Inside Gear(ギャー比20:1)によるもっともオーソドックスな方式であるが(それ故に?)460R通過OK2Mortor 2 Headlight点灯走行電流0.6Amp走行性能は当社のED級、EF級電機の中でBest.
この点では同時代天賞堂カツミ新駆動方式の電機群は顔色なしである。おまけに特大ウエートを積んで全重量は820g抜群の牽引力「走行派」にとって有り難い。
なお関門トンネル用EF81 300番台「基本型」と同じ車体に、更に別エッチングのコルゲート板を貼り付け、ステンレス車体らしく銀色塗装施した点以外は、駆動装置その他すべて「基本型」と変る所はない
最近になってEF81 88(基本型)に「はくつる」EF81 302(関門用)に「みずほ」ヘッドマークを取り付けたので、これにカツミ24系PC 7輌を牽引させてMovieStillに収めたので掲載する。





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